仮想通貨のみなし業者の淘汰が始まりました。
2018年3月末時点で、仮想通貨の「登録業者」は16社、登録申請中の「みなし業者」も16社でした。
「登録業者」とは2017年9月の金融庁による仮想通貨交換業者の認可開始に伴い、登録を許可された業者のこと。「みなし業者」はそれ以前から仮想通貨交換業を行っていたが、登録の基準を満たさず、暫定的に営業を認められている業者のこと。
仮想通貨交換業者に対する金融庁検査の結果
2018年1月のコインチェック事件後、金融庁はこれらの業者への立ち入り検査を実施しました。結果・・・
1)登録業者は2社が業務改善命令を受ける。
登録業社のうち、立ち入り検査が実施されたのは「テックビューロ(Zaif)」「GMOコイン」の2社でした。理由はセキュリティ対策の報告に不備があったため。そして立ち入り検査の結果、業務改善命令を受けました。
2)みなし業者は全社が、停止命令・改善命令を受ける、もしくは撤退。
3月末時点で16社あったみなし業者は、4月末までに金融庁の検査を受けて、全てが停止命令・改善命令を受ける、もしくは撤退という道を選びました。
日本経済新聞:仮想通貨みなし業者 全社にメス 金融庁、審査を厳格化 撤退7社に
そもそも1社はみなし業者の要件すら満たしてなかったとのこと
みなし業者とされていた「deBit」は金融庁が実態を調べたところ交換業としての営業が行われおらず、みなしの要件に該当しないことが判明。同社は新規事業者として正式登録を目指す。 日本経済新聞
結果として、みなし業者16社の動向は以下の通りです。
- 1社 みなし取消し:deBit
- 7社 撤退:ビットステーション、ミスターエクスチェンジ、来夢、ビットエクスプレス、東京ゲートウェイ、CAMPFIRE、ペイワードジャパン
- 4社 停止命令:FSHO、エターナルリンク、ブルードリームジャパン、BMEX
- 4社 改善命令:コインチェック、バイクリメンツ、LastRoots、みんなのビットコイン
みなし業社の今後
結局、みなし業者のうち、営業を続けられるのは、改善命令を受けた4社のみということに。
このなかで「コインチェック」はマネックス証券グループのメンバーとして体制・運営を改善し、遠からず登録業社になっていくでしょう。
となると、残る「バイクリメンツ」、「LastRoots」、「みんなのビットコイン」がどうなるか。
私はこれらのみなし業者が、大手新規参入の足がかりになるとみます。
現在100社超が参入意欲を示す新規登録申請の審査が一時中断しています。となると、本気で新規参入を目指す企業は、マネックス証券がコインチェックを買収したように、「みなし業者」や「登録業者」への出資・提携を目指すはず。
例えばニュースになった「ヤフーがビットアルゴ取引所東京に関連会社を通じて出資」や「大和証券がコインチェックの支援を検討」といった案件が増えると想定。証券業界では大和証券、SMBC日興証券、それ以外の業界ではヤフー、楽天、LINE、メルカリといったところが仕掛け役になるのでは。
まとめ
金融庁の仮想通貨交換業者に対する立ち入り検査の結果がでそろいました。
みなし業者は16社中、4社しか残らない(停止命令から復活するところは別として)という結果になりました。
残る4社のうちコインチェックはマネックス証券グループとしておそらく復活するはず。残る会社は、同じように大手新規参入組に買収されていくのでは、というのが私の予想です。
コインチェック騒動に端を発した日本の仮想通貨市場の見直しが、大手の新規参入をうみ、結果として仮想通貨が広く市民権を得るきっかけになった、と後で振り返って思えるようになっていますように。