仮想通貨交換業者の奪い合いが始まる

   


仮想通貨交換業者に対する金融庁の検査と指摘が止まりません。

日本経済新聞(2018/4/7):仮想通貨、複数の登録業者に立ち入りへ 金融庁

これによると、これまで立ち入り検査をしていなかった「登録業者」に対しても、2018年4月9日週から順次検査に入るとのこと。

そうなると何が起きるのか。わたしは以下2つが起きると予測します。

  • 登録業者のうち、営業開始していないところは別扱いになる
  • 登録業者・みなし業者が他業界からの参入の入口としてターゲットとなる

 

これまでの金融庁の対応

2018年3月末時点で、仮想通貨の「登録業者」は16社、登録申請中の「みなし業者」も16社。

そもそも「登録業者」とは2017年9月の金融庁による仮想通貨交換業者の認可開始に伴い、登録を許可された業者のこと。「みなし業者」はそれ以前から仮想通貨交換業を行っていたが、登録の基準を満たさず、暫定的に営業を認められている業者のこと。

そしてこれらの業者に対する、これまでの金融庁の動きを振り返ると・・・

1)2018年1月のコインチェック事件後、仮想通貨交換業者への立ち入り検査を実施。
対象は「みなし業者」16社全てと、「登録業社」のうちテックビューロとGMOコインの2社。2社が選ばれた理由はセキュリティ対策等の報告に不備があったため。

2)検査の結果、業務停止と業務改善を命令。
みなし業者16社のうち、3社に対し業務停止命令。コインチェックを含む4社に対し業務改善命令を実施。並行して6社が登録をあきらめ、撤退を決めた。
登録業社2社(テックビューロ、GMOコイン)はどちらも業務改善命令を受けた。

日本経済新聞(2018/4/7):仮想通貨3社に行政処分 金融庁発表
日本経済新聞(2018/3/8):仮想通貨7社を行政処分、うち2社は業務停止 金融庁

 

具体的な会社名では・・・

■みなし業者(全16社)

  • ビットステーション ⇒ 停止命令・撤退
  • ミスターエクスチェンジ ⇒ 改善命令・撤退
  • 来夢、ビットエクスプレス、東京ゲートウェイ、CAMPFIRE ⇒ 撤退
  • FSHO、エターナルリンク ⇒ 停止命令
  • コインチェック、バイクリメンツ、LastRoots ⇒ 改善命令
  • みんなのビットコイン、Payward Japan、deBit、ブルードリームジャパン、BMEX ⇒ とくに指摘なし

16社中、11社が撤退・停止命令・改善命令を受けるという状況です。

 

■登録業社(全16社)

  • テックビューロ(Zaif)、GMOコイン ⇒ 改善命令
  • その他14社※ ⇒ これから立ち入り検査
    ※サービス提供中(9社):ビットフライヤー、QUOINE、ビットバンク、ビットトレード、BTCボックス、ビットポイントジャパン、DMMビットコイン、エフ・ティ・ティ、フィスコ仮想通貨取引所
    ※サービス未提供(5社):マネーパートナーズ、SBIバーチャルカレンシーズ、ビットアルゴ取引所東京、ビットオーシャン、Xtheta

⇒書いていて気付きましたが、登録業社のうち約3分の1(16社中5社)がまだサービスを開始していないんですね。
立ち入り検査では、資産の分別管理・セキュリティ対策・企業統治の状況などを確認すると報道されていますが、登録時にはサービスを開始していない業者はどうやって審査したんでしょうか。

 

今後の予想

これから登録済み業者への立ち入り検査が始まりますが、その影響を勝手に予想します。

 

①登録済み業者から『登録保留』とされる業者が出る

まだサービスを開始していない事業者は、「実効性のあるセキュリティ対策を行っているか」などは確認できないはず。

となると、それらを確認できない業者を運用中の登録業者と分けるのでは、と想定します。
登録取り消しまではしないけれどもサービス開始時には再度審査が必要な業者、という区分(登録保留というステージ)が新たに作られるのでは。

 

②「サービス未提供の登録業者」「みなし業者」が大手新規参入の草刈り場になる

登録業者への立ち入り検査が始まることで、100社超が参入意欲を示す新規登録申請の審査が一時中断になります。

となると、本気で新規参入を目指す企業は、マネックスがコインチェックを買収したように、「みなし業者」や「登録業者」への出資・提携を目指すはず。

例えばニュースになった「ヤフーがビットアルゴ取引所東京に関連会社を通じて出資」や「大和証券がコインチェックの支援を検討」といった案件が増えると想定。証券業界では大和証券、SMBC日興証券、それ以外の業界ではヤフー、楽天、LINE、メルカリといったところが仕掛け役になるのでは。

 

まとめ

マネックスのコインチェック買収は、仮想通貨業界の再編の始まり。当局も既存金融機関の大手が仮想通貨業界に参入することで、業界の信用力が増すことは歓迎すべきことと考えているはず。

その意味で今後こんなことが起きると予想します。

  • 登録業者のうち、営業開始していないところは別扱いになる
  • 登録業者・みなし業者が他業界からの参入の入口としてターゲットとなる

コインチェック騒動から端を発した仮想通貨業界の再編、どのように進むのか巻き込まれた当事者としてこれからも興味を持って見守っていきます。